第25回多田謡子反権力人権賞受賞者選考理由
 
2013/11/05
 
 ● 原子力発電に反対する福井県民会議
                                       (集中立地県での原発反対闘争)
 
《受賞理由》
 「原子力発電に反対する福井県民会議」は、開発中のもんじゅ、ふげんを含め、計15基の原発が集中する原発集中立地県の福井において1976年に結成され、敦賀原発3、4号機増設反対運動で21万3千人の署名を集めて2000年まで増設計画を白紙化させたこと、故小木曽美和子事務局長が中心となって提訴したもんじゅ訴訟では、2003年、日本の原発訴訟で初めての住民側勝訴を勝ち取るなどの成果を上げてきました。
 福島原発事故後においてさえ原発の必要性を声高に唱え、大飯原発を再稼働させた関西電力、敷地直下の活断層を原子力規制委員会に指摘されながら廃炉に抵抗し続ける日本原電、電力会社に肩入れする現職知事と、今も原発推進勢力が幅をきかせる福井県は、現在、原発再稼働の焦点となっています。
 原発集中立地県での37年に及ぶ闘いに敬意を表し、これからの厳しい闘いへの期待と連帯の意思を込めて反権力人権賞を贈ります。
 
 ● 渋谷・野宿者の生存と生活をかちとる自由連合
                        (野宿者など持たざる者の生存権のための闘い)
《受賞理由》
 渋谷・野宿者の生存と生活をかちとる自由連合(略称:のじれん)は、東京・渋谷を中心として、野宿者や失業者、生活困窮者、不安定雇用労働者など、持たざる者をめぐる問題の現状とその背景について、当事者と共に考え、共に活動している運動団体です。1998年4月に結成されて15年になります。
 毎週土曜日、渋谷・美竹公園での共同炊事(炊き出し)、パトロール(夜間巡回)、第1土曜日の医療・生活保護相談会などの日常活動を行い、生活保護申請を支援し、野宿者に対する排除・追い出しに対する闘いなどに取組んでいます。
 のじれんは今、生活保護法改悪、生活保護費引き下げなど、生存権を脅かす政府の動きに抵抗する闘いと共に、東急電鉄による渋谷駅地下の野宿者追い出し工事といった都市再開発を理由にした排除策動に抵抗する闘いを押し進めています。最底辺で生きる人々、持たざる者の生存権のための闘いに敬意を表し、反権力人権賞を贈ります。
 
 ● ヘリパッドいらない住民の会     (米軍ヘリパッド建設反対の闘い)
 
《受賞理由》
 1996年の日米政府間取り決めにより、沖縄本島北部のジャングル戦闘訓練センターの一部を返還するかわりに、東村高江に新しいヘリパッド6カ所が建設されることになりました。ヘリパッドいらない住民の会は、地元住民の反対の声を無視して、危険なオスプレイによる訓練施設が民家のすぐ近くにつくられること、貴重な自然が破壊されることに反対して闘い続けてきました。
 2007年からはじまった住民の座り込みに対しては、工事が進まないことを理由に、国が住民を訴えるという前代未聞の恫喝的な訴訟が起こされ、裁判が続いています。
 豊かなやんばるの森を切り裂き、あたかも住民たちを標的にするかのような戦闘訓練施設をつくろうとするアメリカ、日本政府に対して、平和と自然と平穏な生活を次の世代に残すために、闘い続けるヘリパッドいらない住民の会に連帯する意志を込めて、反権力人権賞を贈ります。