第21回多田謡子反権力人権賞受賞者選考理由
 
2009/11/16
 
 ● 移住労働者と連帯する全国ネットワーク
               (移住労働者・外国人の権利獲得の闘い)
 
《受賞理由》
 在日朝鮮人・韓国人の指紋押捺拒否の闘いなどに触発されて、人間としての権利を奪われている移住労働者・移住外国人の支援にたずさわった人々、移住労働者を組織して闘いはじめた個人加盟労組など、様々な組織が集まって、1997年に移住労働者と連帯する全国ネットワーク(略称・移住連)が発足しました。
 移住連は移住労働者・移住外国人の権利を守り、自立への活動を支え、多文化・多民族が共生する社会をつくるために活動しています。入管法改定反対、外国人の管理・監視を強化する在留管理制度に反対、またDV防止法改定のための闘いなど国政レベルで移住労働者・外国人の権利を擁護する闘いを組織する一方、各地での闘いをふまえた全国フォーラムを開催して闘いを結びつけ、「多民族・多文化共生社会」の実現に向けて奮闘している移住連に敬意を表し、反権力人権賞を贈ります。
 
 ● 辻井義春さん (国労組合員で唯一の組合バッジ着用者)
 
《受賞理由》
 国労組合員の辻井義春さんは、JR東日本のなかでただ一人、組合のバッジ(国労バッジ)をつけ続け、2002年以降、度重なる出勤停止処分と賃金カット、さらには定期昇給のカットという攻撃にさらされています。  制服の襟につける1センチ四方の国労バッジは、分割・民営化の過程では新会社への採否を決める項目の一つにされ、JR発足後も、着用者には定期昇給のカットと一時金のカットが繰り返されて来ました。当局・会社の攻撃によって国労はバッジ着用の闘いを継続することが困難となり、組合の機関としては闘いを収束せざるを得ませんでした。
 しかし、どうしても国労バッジをはずすことのできない辻井さんは襟にバッジをつけて働き続けています。2005年には個人として東京都労働委員会に申し立てを行い、2008年、出勤停止処分と賃金減額、昇給カットを撤回せよという勝利命令を勝ち取りました。
 当基金は、職場が資本の専制支配の場と化すかに見えるなかでも、不当にも解雇された仲間たちの事を忘れず、当然の権利を行使し続ける辻井さんに敬意を表し、反権力人権賞を贈ります。
 
 ● 上関原発を建てさせない祝島島民の会 (上関原発反対運動)
 
《受賞理由》
 上関原発を建てさせない祝島島民の会は、中国電力が山口県上関町の祝島の集落の対岸に建設を計画している上関原発に対して27年以上にわたり反対運動を繰り広げてきました。原発の危険性、放射性廃棄物問題の未解決、再生可能エネルギーへの転換への逆行などの原発全体の問題点に加え、天然記念物のカンムリウミスズメを含む希少生物の保護、さらには推進派の町長選出のために繰り返されてきた不正転入や買収など数々の問題をはらみながら、中国電力は上関原発建設計画をあきらめず、2008年には公有水面埋め立て許可が出され、政権交代しても原発推進の姿勢を変えない民主党政権の下で、中国電力は埋め立てを強行しようとしています。このような厳しい情勢の中で、反対運動を続ける上関原発を建てさせない祝島島民の会の闘いは、反原発の現在と権力の現在の姿を象徴するものでもあり、心から敬意を表するとともに、さらなる闘いの発展と継続を期待して反権力人権賞を贈ります。