ごあいさつ
 
多田謡子反権力人権基金代表 佐伯千仭
(立命館大学名誉教授・弁護士)
 
1990/06
 
 多田謡子さんは、感受性が豊かで人に対してとてもやさしい気持ちを持った女性であったように思います。その中学生、高校生の頃の文章にすでに見られたのびのびとした感性を弁護士になってからもそのまま持ち続け、正義に反すること、理不尽なことに対しては激しい闘志を持って闘う一方、大変人なつっこくて依頼者などにとってはとても親身な相談相手だったようです。気骨のある人材が希少価値となりつつあるように思える司法界の現状を見るにつけ、多田謡子さんの天折−−それは正しく弾圧を受けている人達を守るための戦いの中で散って行ったのでした−−は惜しみても余りあるものがあります。
 私は、多田謡子さんが京都出身で同じ大学の出であり、且つ同職でもあるということで、多田謡子反権力人権基金の代表を務めていますが、彼女の人となりや彼女の志を人々に広く知ってもらいたいと願っております。幸い第一回人権賞受賞式は多くの方の御支援を得ましたが、今後この支持の輪をどんどん広げていきたいと考えています。当基金に対する御参加、御支持を何卒宜しくお願い申し上げます。